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江口 隆
江口 隆

特定社会保険労務士 江口 隆(えぐち たかし)

当事務所は、広島市を中心に広島県全域を対象として障害年金の申請代行業務を行っております。

私が障害年金の申請代行業務を始めたきっかけは、15年前に在籍した大学院でメンタルヘルスの研究を行った際に過重労働で退職を余儀なくされた労働者の多くの方が、障害年金のことを知らない、又、会社の人事関係者も障害年金についてのアドバイスを行っていないことから、退職後に経済的に困窮されていることを知ったことです。

平成24年から本格的に障害年金の申請代行業務を行っており、たくさんの方から感謝のお言葉を頂き、有難く思っています。
これからも障害年金の受給を希望される方から、申請代行業務のご依頼を頂いた場合は、請求者の方に寄り添い、きめ細かな対応を行うように努めます。

障害年金の遡及請求は難しい?申請結果や注意点を社労士が解説

障害年金とは

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

障害年金には、「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けた時に、国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」厚生年金保険に加入していた場合は、「障害厚生年金」を請求できます。

また、障害年金を受け取るには、年金の保険料納付状況などの条件が設けられています。

 

障害年金を申請できるタイミング

障害年金の申請は、原則的には初診日から1年6ヶ月経過した日(障害認定日)を経過していれば、申請することが可能です。

但し、人工透析、人工関節、人工肛門、ペースメーカー等のように、初診日から1年6ヶ月の経過を待たずに、請求できる特例があります。詳しくは当事務所にご相談ください。

遡及請求とは

障害年金は、初診日から1年6ヶ月を経過していれば、請求は可能ですが、障害年金の制度があることを知らなかったために申請をしていない場合があります。

初診から1年6ヶ月経過した日(障害認定日)から1年以上経過していても障害認定日時の診断書を当時受診していた病院で作成してもらうことができれば、障害認定日に遡って請求することができます。これを「遡及請求」といいます。

 

遡及請求するためのポイント

障害認定日から3ヶ月以内の診断書現在の診断書が必要となります。

障害認定日から相当時間が経過している場合(8年以上前)、共済組合に請求するときには、

障害認定日の診断書に加えて5年前の診断書の提出を求められるときがあります。

 

すぐ申請した方がよいのか

遡及請求するタイミングについては、結論としては、「なるべく早く請求を行うこと」をお勧めします。理由は、以下の2つです。

(1)5年以上経過するとカルテが破棄されてしまう可能性がある。

カルテの保管期間は、「診療が終了してから5年」と決まっています。電子カルテを導入していない病院の紙カルテは、終診日から5年を経過すると廃棄されてしまう可能性があります

 

(2)遡及請求が認められるのは、最大5年まで

障害認定日が5年以上前であれば、遡及請求で支給されるのは、最大5年分となり、5年を超える期間の障害年金は、時効で権利は消滅します

 

遡及請求の受給可能性

遡及請求の受給可能性については、傷病によって変わります。

受給可能性の比較的高い傷病としては、人工関節やペースメーカーのように障害認定前に手術が行われていれば、受給の可能性は高いです

他方、受給可能性の比較的低い傷病としては、リウマチ、パーキンソン病、網膜色素変性症のように徐々に進行していく傷病の場合、障害認定日時では、障害等級に達していない場合が多く、遡及請求の受給可能性は低いと思います。

精神疾患の場合、障害認定から現在までの就労状況によります。概ね、無職休職中障害者雇用での就労であれば、受給の可能性はあります。

 

遡及請求が難しいケース

カルテの保管期間(最低5年)を超えているため、カルテが廃棄されていると初診の証明がとれない障害認定日時の診断書が作成できないと言われ、遡及請求ができないことになります。

また、大きな病院では、障害認定日時に診療を行った医師が異動でいない場合に当時の状況が分からないとして診断書の作成を断られることがあります。

その場合、現在の医師が当時のカルテを参照して診断書を作成してもらえればよいのですが、当時の症状を的確に反映した診断書が作成されるかは不明です。

障害年金で遡及請求すると扶養から外れてしまうのか

健康保険の被扶養者の要件は、以下の通りです。

①年収が130万円未満(障害者の場合180万円未満

②年収が被保険者の年収の2分の1未満

 

従って、障害厚生年金200万円を受給される場合は、180万円以上ですので被扶養者とはなりませんが、障害厚生年金120万円で5年間の遡及が認められて、一時的に600万円を受給した場合に被扶養者と認定されるかが問題となります。

結論から申し上げると、被扶養者の収入は、恒常的な収入ですので一時的に600万円を受給したとしても、年額は120万円で180万円未満ですので被保険者の年収の2分の1未満であれば、被扶養者の認定はされます。

 

当事務所の遡及請求事例

当事務所での遡及事例の一部を以下の通り、ご紹介します。

 

社会的治癒を適用して厚生年金加入中の再発時を初診として遡及請求を行い、遡及5年分の受給が認められたケース

平成27年11月にご本人が相談に来られました。

大学生の時に短期間うつ病で受診しましたが中断し、

結婚、就職後に再発(躁うつ病)したので、再発時を初診として障害年金の請求ができないかとのご相談でした。

大学生時の終診から再発の受診までの期間が6年以上あり、その間、結婚、就職をされており、社会的治癒が適用されるケースだったので、主治医に説明して再発時を初診とする診断書を作成して頂きました。

その結果、障害厚生年金5年分の訴求が認められ、728万円の受給が決定しました。

 

初診から現在まで同一のクリニックに受診して遡及請求を行い、遡及5年分の受給が認められたケース

令和4年10月頃にご相談に来られました。

平成27年10月が初診(うつ病)で、初診日から休職に入り、平成30年10月から午前中のみの勤務で復職しました。

ですが、就労困難となり、平成31年2月より再度休職に入り、休職期間満了で平成31年4月末で退職となってしまったそうです。

以後は、無職の状態が続き、家族の生活のために障害年金を請求したいとのご相談でした。

初診日から5年以上同一病院で同じ医師の診療を受けておられたため、医師に丁寧な診断書を作成して頂き、無事に障害厚生年金の5年遡及が認められ、約1200万円の受給が決定しました。

 

大動脈解離を発症した方の遡及請求(5年弱)が認められたケース

平成30年8月2日、胸の痛みで救急搬送され、8月3日、大動脈解離の診断で同日に人工血管置換術を施行されたケースです。

この場合、初診日から1年6ヶ月経過日が障害認定日ではなく、人工血管置換術施行日が障害認定日となります。

そのため、人工血管置換術施行日から3ヶ月以内の診断書と現在の診断書を作成してもらいました。

その結果、障害厚生年金3級の5年弱の遡及が認められ、約494万円の支給が決定しました。

 

その他の受給事例

うつ病を併発し、広汎性発達障害で障害厚生年金3級を遡及で受給

双極性感情障害/障害認定日前から無職、5年遡及による障害厚生年金3級を受給した事例

喘息、肺気腫で障害厚生年金2級を受給

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